02:08 ◎ディスインフレのリスク増したら量的緩和を=米セントルイス連銀総裁

 【ワシントン時事】米セントルイス連銀のブラード総裁は19日、アーカンソー州で講演し、米国のインフレのコア指数は低水準ながら対処可能であり、景気も拡大を続けているため、現時点で連邦準備制度理事会(FRB)が行動を取る必要はないとの見解を示した。ただ、ディスインフレのリスクが増せば、米国債買い増しが正当化されると述べ、量的緩和を推進する必要を改めて主張した。
 ブラード総裁は量的緩和の主要目標の1つは「米国のコアインフレが日本のような低水準に落ち込むのを回避することだ」と指摘した。
 総裁は、米景気見通しは下方修正されたが、プラス成長は維持すると分析。第2四半期の国内総生産(GDP)は輸入の影響を受けたとした。
 日本の経験が示すように低すぎるインフレは問題だとした上で、FRBがデフレ回避のため低水準の政策金利だけに依存するのは好ましくないと強調した。(了)
00:37 ○米財政赤字、1兆ドル突破へ=3年連続で―議会予算局☆差替

 【ワシントン時事】米議会予算局(CBO)は19日、2011年度(10年10月〜11年9月)の財政赤字が1兆0660億ドル(約90兆6100億円)になるとの予想を発表した。前回3月時点の予想から悪化、3年連続で1兆ドルの大台に乗せる見通しとなった。11月の中間選挙を前に、財政赤字をめぐる論議が白熱しそうだ。
 CBOによると、10年度の財政赤字見通しは1兆3420億ドル。史上最大の赤字を記録した09年度(1兆4130億ドル)をピークに、今後数年は減少を続ける見込み。
 これに対し、米政府は10年度の赤字は1兆4710億ドルと、過去最悪を更新すると予想している。
 CBOは一方で、10年(暦年)の実質GDP(国内総生産)伸び率見通しを3.0%、11年は2.1%とした。また、失業率については10年が9.5%、11年は9.0%とした。(了)
07:10 ◎国債価格、一段と上昇も=米株安続けば〔NY債券市場見通し〕(20日)

 【ニューヨーク・ロイターES=時事】20日の米国債市場では、特に米株安が続いた場合、債券価格は一段と上昇する可能性が高い。
 米経済の回復が揺らいでいるとの懸念を背景に、投資家はリスクの低い国債を購入している。19日の10年債利回りは2.56%と、1年5カ月ぶりの水準にまで低下した。
 20日は債券相場を動かすような経済指標の発表は予定されておらず、米株価が前日に続いて下げた場合、安全資産としての国債の魅力が一段と高まる公算が大きい。
 ただ、アナリストの間では、現在の国債買いの動きは「債券バブル」とも言える状態を招いており、崩壊の瀬戸際に立っているかもしれないとの見方が取りざたされている。こうした状態は住宅価格が急落した2007年と08年、IT(情報技術)バブル末期の00年にも見られた。
 キャピタル・エコノミクスの主任国際エコノミスト、ジュリアン・ジェソップ氏は「ほとんどのアナリストは最近の米欧日の国債利回り低下の速さと広がりに驚いている。わが社のようにいつも強気な者でもそうだ」と述べた上で、「その代わり、相場はバブルになってきているとの観測が再燃している」と指摘した。
 同氏はただ「わが社はそうではないと考えている」と強調。現在の国債価格と利回りは、短期金利の現状が長期にわたって続くとの見通しや、インフレ率が低水準またはマイナスになっている点、リスクの高い資産の運用益が満足のいく水準にないことなどのファンダメンタルズ(基礎的条件)によって正当化できると説明した。
 さらに「米欧でバブルを起こすことなく債券利回りが一段と低下することはあり得ないとの説得力のある理由は見当たらないというのが結論だ」と語った。
 19日の債券市場では、フィラデルフィア連銀製造業景況指数が予想外の低下、週間新規失業保険申請件数も9カ月ぶりの高水準を記録したことから、利回りは低下した。
 投資家の間では、これらの指標は景気回復の揺らぎを示唆する証拠と受け止められた。
 一部のアナリストは、経済成長が鈍化した場合、10年債利回りは金融危機最中の08年12月につけた2.04%を割り込むこともあり得ると予想している。
 BNPパリバの米金利ストラテジスト、セルゲイ・ボンダルチュク氏は「主に成長見通しの修正に押され、債券利回りはさらに低下するとみている。利回りは今後数四半期の間に2%に迫るだろう。来年第1四半期には2%を下回るかもしれない」との見方を示した。(了)
07:08 ◎上伸=米経済指標の悪化で逃避買い〔NY金融・債券市況〕(19日)

 【ニューヨーク・ロイターES=時事】19日の米金融・債券市場では、国債相場が上伸した。朝方発表された米経済指標で米景気回復が困難に直面していることが示され、金利が長期間にわたり低水準に抑えられるとの観測が高まったことで、2年債利回りが過去最低を更新した。
 米経済が二番底に陥るのではないかとの懸念が高まり、この日は米株価が下落。これを受け、現物の長期債、国債先物、および上場投資信託に対する逃避買いが加速した。
 プランテ・モラン・フィナンシャル・アドバイザーズの首席投資ストラテジスト、ジム・バード氏は「(米)経済は全般的にみてリスクの高い領域に入っている。景気が二番底を打つリスクは高まった」と指摘。このため「市場参加者は高リスク資産へのエクスポージャーを引き下げ、国債への資金のシフトを進めている」と述べた。
 この日は米連邦準備制度理事会(FRB)傘下のニューヨーク連銀が17日に引き続き国債買い切りオペを実施し、36億1000万ドルの国債を買い入れた。
 米FRBが10日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で満期を迎えるモーゲージ担保証券(MBS)などの証券の元本償還金を米国債の買い入れに充てる方針を表明したことを受けた措置で、これに関してセントルイス地区連銀のブラード総裁は19日、米経済がさらに減速した場合、FRBは買い入れ枠を拡大させる必要も出てくると発言している。
 米国債への需要が高まるなか、米財務省はこの日、来週に総額1090億ドルの国債入札を実施すると発表した。
 この日の取引では長期債が相場の上昇をけん引した。30年債利回りは3.622%と1年4カ月ぶりの低水準を更新。指標10年債利回りは2.557%と、1年5カ月ぶりの低水準を更新した。2年債利回りは0.475%と、過去最低を更新した。
 RBS証券の短期市場および先物戦略部門を統括するジム・リー氏は「金利はこの先しばらくは低水準で推移するとみられている。こうした見方が利回りを押し下げている」と述べた。
 この日発表の米経済指標では、米フィラデルフィア地区連銀の8月の製造業業況指数がマイナス7.7と、業況判断の分かれ目となるゼロを割り込み、2009年7月以来の低水準となった。また、米労働省が発表した14日までの週の新規失業保険週間申請件数は9カ月ぶりの高水準となった。
 これを受け、この日は30年債現物、および先物以外にも、長期的に安全な投資リターンが得られる資産に物色対象が広がり、シカゴ商品取引所(CBOT)のウルトラTボンド先物12月限の取引が膨んだ。
 取引は額面で9億ドルに達し、アナリストによると、CBOTが今年1月に同先物取引を開始して以来最大級となった。アナリストによると、こうしたウルトラTボンド先物の期限は約18年と、通常のTボンド先物の15年よりも長く設定されている。
 またアナリストは、長期債への需要の高まりで上場投資信託にも買いの対象が広がったとしている。
 
 Tボンド先物9月限は1/32高の134―11/32。
 Tノート先物9月限は11/32高の125―30.50/32。(了)
06:38 ◎長期金利、2.5%台に低下〔NY債券〕(19日)

 【ニューヨーク時事】19日のニューヨーク金融・債券市場は、事前予想より悪い米景気指標が相次いだことから、リスク回避の債券買いが膨らみ、長期金利は3日ぶりに2.5%台に低下して引けた。長期金利の指標である10年物米国債利回りは前日引け水準比0.05%低下の2.58%、30年物債利回りは0.08%低下の3.66%で終了。
 2年物債利回りは0.01%低下の0.49%、3カ月物財務省証券(TB)利回りも同幅低下の0.15%で引けた。
 朝方発表された新規失業保険申請件数は、昨年11月以来約9カ月ぶりに50万件の大台に乗り、雇用情勢の悪化が確認された。「(9月3日に発表される)8月の雇用統計は、7月からさらに悪化する」(調査会社ムーディーズ・エコノミー・ドットコム)との懸念が強まっている。
 その後に発表されたフィラデルフィア連銀の景況指数も、予想外のマイナスに転落。同指数は、米サプライ管理協会(ISM)製造業景況指数の先行指標とみなされており、「9月1日に発表される8月のISM指数は好不況の分岐点となる50を割り込む」(日系金融機関)との見方が広がり、リスク回避の動きが加速した。
 市場では10年物債利回りで2.5%が抵抗線との見方が多く、「この水準を下回るには大きなエネルギーが必要」(同)とみられている。
 ただ、米国よりも景気の回復力が強いドイツの10年物債利回りも2.3%まで低下しており、一段の低下もありそうだ。(了)