08:14 ◎エジプトGASC、9月16〜30日出荷で小麦5万5000トン購入

 【カイロ・ロイターES=時事】エジプト政府の食料買い付け機関、食品供給会社(GASC)は17日、9月16〜30日出荷で、米国産小麦5万5000トンを購入したことを明らかにした。取引はFOB(本船渡し値段)ベース。価格はトン当たり277.50ドル。
 エジプトは世界最大の小麦輸入国。2010〜11年度(10年7月〜11年6月)ではこれまでに、米国、フランス産小麦41万5000トンを購入した。前年度の購入量は553万トンで、購入先は米国、フランス、ロシア、ドイツ、カザフスタン、カナダだった。(了)
06:52 ◎穀物相場を過熱させるロシアの大干ばつ=茅野信行氏―アナリストの目

 穀物市場は過熱状態にある。ロシアの130年ぶりの干ばつによる小麦生産の激減が、世界の小麦需給を逼迫(ひっぱく)させた。これが小麦からトウモロコシへの代替需要を生み出し、過去最高の生産高を更新する米国のトウモロコシ需給を間接的に引き締めているのだ。
 こうした中、米農務省は8月12日、需給報告を発表した。内容はトウモロコシが中立、大豆がやや弱気、小麦が弱気と受け取られてよいものであった。トウモロコシの単収がエーカー当たり165.0ブッシェルへ、生産高が133億6500万ブッシェルへとそれぞれ引き上げられたからだ。これに加え、大豆の単収が44.0ブッシェル、生産高が34億3300万ブッシェルとなった。トウモロコシ、大豆とも単収、生産高の両面で過去最高を記録した昨年を上回るのだ。その上、小麦の単収は46.9ブッシェルで史上最高、生産高は22億6500万ブッシェルとかなりの豊作になる。
 しかし、報告発表後の立ち会いでは、穀物相場は軒並み上昇した。トウモロコシ(9月きり)はブッシェル当たり3.955ドルから4.0625ドルへ0.1075ドル値上がりし、大豆(同)は10.165ドルから10.26ドルへ0.095ドル上昇した。さらに小麦(同)は6.9475ドルから7.13ドルへ0.1825ドルも反発した。
 なぜなら、トウモロコシも大豆も増産になることが明らかなのに、それを上回る需要の伸びが予測され、期末在庫が減少するからである。また、小麦は旧ソ連のロシアとカザフスタンの深刻な干ばつで生産が激減する上、カナダが多雨と低温で大幅減産になる見通しである。それ以外の主要生産国も総じて生産見通しが引き下げられ、需給逼迫が顕著になってきたからである。
 ◇小麦の在庫率は潤沢な水準を保っている
 ロシア政府は8月5日(現地時間)、8月15日から12月31日までの間、小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシの輸出を禁止すると発表し、その通り輸出を停止した。ロシア政府は今後の穀物の収穫状況次第では、禁輸措置を延長する可能性があることを示唆している。それだけではない。ロシア政府は関税同盟を締結しているベラルーシとカザフスタンに対して、穀物の輸出禁止に同調するように呼び掛けた。しかし、カザフスタンの農業省幹部は8月9日、穀物の輸出禁止を行わないことを明らかにした。
 それなら小麦の世界需給はどうなっているのか。主要生産国の生産高を見ると旧ソ連は前年度の1億1384万トンから、今年度は8721万トンへ2663万トンもの激減である(うちロシアは6170万トンから4500万トンへ1670万トン減少、カザフスタンは1700万トンから1150万トンへ550万トン減少すると予測されている)。カナダは2650万トンから2050トンへ600万トン減少する。さらに欧州連合が1億3820万トンから1億3751万トンへ69万トン、中国が1億1500万トンから1億1450万トンへ50万トン減少する。
 一方、アルゼンチンは960万トンから1200万トンへ240万トン増加する。オーストラリアも2250万トンから2300万トンへ50万トン増加する。さらに米国も6031万トンから6164万トンへ133万トン増加する。この結果、世界の期末在庫は1億9397万トンから1億7476万トンへ1921万トン減少する。在庫率も同様に29.8%から26.3%へ低下する。とはいえ、在庫率を見る限り安全圏の20%どころか、潤沢な25%を上回っており、過剰感が漂っても不思議ではない水準にある。
 ◇投機資金流入が小麦相場を高騰させた
 ロシアの穀物禁輸の背景には、@干ばつの深刻化に伴う小麦価格の高騰を抑え込み、パンなどの食料品の値上がりに対する一般大衆の不満を和らげるAベラルーシとカザフスタンへの禁輸の呼びかけは、ロシアだけでは輸出禁止の効果が薄いから、禁輸に同調する国(旧ソ連に所属していた)を増やして禁輸の効果を上げるB輸出禁止を長期間続けると輸出国の不利益が大きくなる(このことは過去の輸出禁止によって証明されている)ので、禁輸期間を限定して不利益の増大に歯止めをかける―意図があると想像される。
 ロシアの干ばつは6月半ばから深刻化した。特に7月半ば以降は山火事が頻発し、黒煙が住宅地を覆って住民への健康被害が懸念されるようになって、小麦相場はさらに上げ足を速めていった。シカゴ小麦市場でのファンド筋の動きを追うと、6月15日には5万5617枚の売り越しだったが、6月29日には4万7119枚に減少、7月20日には2335枚の買い越しに転じ、8月4日には2万1641枚まで買い持ちを膨らませている。この間のファンド筋の買いは延べにして7万7258枚に上った。
 一方、シカゴ小麦相場(9月きり)は6月29日のブッシェル当たり4.57ドルから8月5日の7.8575ドルへ上昇した。投機資金の流入が小麦高騰の引き金を引いたことは明らかである(とはいえ2008年2月末にシカゴ小麦相場が12.80ドルの史上最高価格をつけたとき、ファンド筋の買い越しは5万枚を超えていた。それに比べれば、今回の買い越しはその時の半分にも達していない)。
 ◇禁輸措置には極めて高価な代償も
 ロシア政府が輸出禁止を発表した時、いったい小麦市場では何が起こったのか。第一に、各国の市場からあり余っていたはずの小麦がたちまち姿を消した。第二に、ロシア産の小麦を買い付けていた国々は、ロシア政府に契約の履行を要求した。その典型が輸入国エジプトであった。エジプトはロシアに対し直ちに抗議した。それは「わが国(エジプト)が契約しているロシア産小麦54万トンは、契約通り積み出されなければならない」というものであった。
 仮にロシアが輸出禁止を8月15日から実施しても、エジプトは必要な小麦をまず欧州連合とオーストラリアから輸入する。それでも足りない分は、伝統的な輸出国の米国から購入する。これで必要な小麦は賄うことができる。それだけのことである。
 ロシアのプーチン首相は輸出禁止という切り札を切った。筆者は「国内の動揺を抑えるために必要」という政治的側面を認めることにやぶさかではない。そして輸出禁止に踏み切らざるを得なくなったプーチン首相に心から同情する。とはいえ、ロシアにはこれ以上打つ手はなくなった。その代わり、禁輸措置に対し極めて高価な代償を要求される。それは何か。ロシア政府に対する輸入国側の信頼喪失である。ロシアが来年に入って小麦を輸出したいと望んでも、輸入国の方はまゆにつばして警戒を緩めない。そうなるとどうなるのか。値引きして販売することを余儀なくされる。
 ◇小麦農家は盆と正月が一緒に来た気持ち
 ロシア産小麦の主要市場は北アフリカと中近東である。それにサハラ砂漠以南のアフリカ諸国が続いている。北アフリカには2150万トン、中近東には2050トン、サハラ以南のアフリカ諸国には1470万トン、合計5670万トンの年間需要がある。これを輸出禁止にすると、@小麦の既契約に対する外貨収入が得られなくなるA輸入国はロシアを信頼できない輸出国であるとみなすBそれから欧州連合やオーストラリア、それに米国へ購入先を変更するCロシアを信頼できない輸出国と判断した輸入国は、ロシアからの小麦輸入の再開に消極的にならざるを得ない―こうして悪循環が止まらなくなる。
 他方、欧州連合やオーストラリア、それに米国の小麦生産農家は、時ならぬ価格高騰によって盆と正月が一緒に来たような気持ちになって、「棚からぼたもち」とばかり小麦を売る。適切な表現ではないが、「他人の不幸を喜ぶ」という農業の宿命であるパラドックスが生まれてくるのだ。
 ロシア政府がしなければならなかったことは、輸出禁止ではない。そうではなくて、「輸出契約は順守する。しかし、干ばつが深刻だから、万が一契約を履行できない場合には、ロシアはそのような事態になることを望んでいないが、船積み期間の延長を求めることを考えざるを得ない」という発表だったはずである。小麦の供給不足が起これば、価格高騰が起こるのは当然である。そうなると、国内の小麦粉需要を満たすために一刻も早く海外から小麦を輸入しなければならない輸入国は、たとえ割高についても契約の一部を他の輸出国からの購入に切り替えるはずだからである。
 ◇強気一点張りになるのは避けたい
 筆者はロシアが穀物輸出の禁止に踏み切ったことは、小麦高騰の「終わりの始まり」になる公算が大きいと楽観している。なぜかといえば、小麦の高騰はこれでひとまず頭を打ち、5.80ドルを超えて値上がりした天候リスクのプレミアム部分がはげ落ちる展開になると考えているからである。
 他方、トウモロコシと大豆は、小麦の世界的な減産という強力な後押しがなくなれば、豊作に伴う供給増大を消化吸収するため、長期的には値下がりして、需要が作り出される必要がある。そして需要を喚起するためには、多かれ少なかれ、価格メカニズムの助けを借りなければならない。目先の相場については強気一点張りになることは避けたいと思う。
06:52 ◎続落=利食い売りで〔シカゴ小麦〕(17日)

 技術要因による売りと利食い売りで続落し、9月きりは12.75セント安の651.00セントで引けた。ロシアの冬小麦産地で降雨が増えるとの一部予報も圧迫要因。
 ファンド筋は7000枚の売り越し。
 カナダの冬小麦の作付面積が過去最大になる可能性があるとの見通しが伝えられた。
 エジプトの商品供給公社(GASC)が、カーギルから米国産小麦5万5000トンをトン当たり277.50ドルで買い付けたと伝えられたが、相場を反転させるには至らなかった。トレーダー筋によると、ロシアは過去に結んだ穀物輸出契約を履行しない見込みという。(ロイターES時事)
06:48 ◎ミール、油とも反発〔シカゴ大豆製品〕(17日)

 大豆ミールは大豆につれ高となって反発し、9月きりは4.30ドル高の306.50ドルで引けた。ファンド筋は1000枚の買い越し。
 大豆油も、大豆と原油相場高を眺めて反発し、9月きりは0.14セント高の41.59セントで終了した。ファンド筋は2000枚の買い越し。(ロイターES時事)
06:45 ◎反発=天候要因や株高受け〔シカゴ大豆〕(17日)

 米中西部の東域で15〜20%程度の地域が好ましくない乾燥天候になっていることなどに一部支えられて反発し、9月きりは11.25セント高の1045.25セント、新穀11月きりは10.50セント高の1042.00セントでそれぞれ引けた。株価や原油相場の上伸に加え、ドル安も支援要因となった。
 ファンド筋は2000枚の買い越し。
 米農務省の発表によると、大豆の作柄状況は「優」と「良」の占める割合が66%と前週比変わらず。前年の同時期とも同じ水準だった。
 また同省によると、2010〜11年度渡しで米国産大豆11万トンが売却された。輸出先は不明。(ロイターES時事)
21:16 ◎ウクライナ、穀物輸出に割当枠へ=「年末まで250万トン」―農業政策相

 【モスクワ時事】ウクライナのプリシャジニュク農業政策相は17日、猛暑による干ばつ被害を受けて、同国の穀物輸出に年末まで250万トンの割当枠を導入する意向を表明した。タス通信が伝えた。
 割当枠の規模については、18日の閣議で協議される見通しだが、同相は「(輸出制限は)ウクライナの食料安全保障のためには必要だ」としている。
 同相はまた、現在港湾施設にある穀物100万トンについては追加分として輸出が認められると述べた。
 ウクライナは世界で6位の小麦輸出国で、昨年度は計2100万トンの穀物を輸出した。(了)
20:41 ◎ロシア、穀物輸出契約履行の可能性は低い=トレーダー筋

 【ハンブルク・ロイターES=時事】トレーダー筋は17日、ロシアが15日から穀物輸出の禁止に踏み切ったことに関連し、禁輸決定前に合意していたものの、実際の受け渡しが同日以降になる輸出契約について、ロシア側が履行する可能性は低いとの見方を示した。
 ロシアの穀物禁輸をめぐっては、主要な顧客を対象に受け渡しを認めるとの観測が米市場で取りざたされている。
 欧州のトレーダーは「モスクワの政治家の中には穏健な発言をする人もいるが、変化を示す確かな兆候は全くない」と指摘した上で、「中東の穀物輸入国はロシア側に働き掛けているものの、特別な措置を勝ち得た国は一つもない」と強調した。
 今回の穀物禁輸は主要輸入国のエジプトにとって特に打撃となっている。別のトレーダーは「エジプト向けに小麦を販売した企業は同国の食品供給公社(GASC)に書簡を送り、ロシアの禁輸で出荷できないと説明した」と述べた。
 さらに「輸出業者の一部はエジプトも調印している国際的な協定に基づき、不可抗力条項を宣言している」と語った。
 ロシアが契約を順守すれば、受け渡しが行われる可能性はある。ただ、別のトレーダーは「ロシア政府は声明の中で、輸出禁止を今年度の後半まで延長する構えを見せているように思える」と指摘、公算は小さいとの認識を示した。(了)
15:34 ◎アルゼンチン産大豆油の輸入再開を模索=時期は明言せず―中国商務省報道官

 【北京ロイターES=時事】中国商務省の姚堅報道官は17日、中国がアルゼンチン産大豆油の輸入を停止している問題で、双方は解決策を模索していると強調する一方、輸入再開に向けた具体的な見通しには触れなかった。
 同報道官は記者会見で「先月、アルゼンチン側とこの問題について協議を行った」と説明した上で、「大豆油や関連製品を対象とする実用的なシステムの確立に向け、基本的に合意に達した」と言明した。
 中国はアルゼンチンが中国製品に対して反ダンピング(不当廉売)関税を課したことに対抗し、アルゼンチン産大豆油の輸入を停止。アルゼンチンは先月にも中国製繊維製品に同関税を適用しており、両国の貿易紛争は一段と激化する恐れがある。(了)